企業探訪

企業探訪 vol.001
佐藤食品 株式会社(男鹿南秋地区会)
新商品がこんなに売れた!
パブリシティ戦略で広域アプローチ。
【2014年3月号】同友会会員である佐藤食品㈱は地域の水産を活かし佃煮を製造している。全国水産加工たべもの展で水産庁長官賞・農林水産大臣賞を計 6 商品で受賞していて、近年はさらに新商品の開発に力を入れている。その新商品開発への取組みの秘話を専務取締役の佐藤賢一氏に取材してきたのでご紹介いたします。

プレスリリースづくりの3つのポイント

佃煮というのは新商品が中々出しにくい分野。しかし佐藤氏はお客さまに新たな価値を提案するために、新商品の開発は必要不可欠と考えていた。そんな中平成23年にバレンタインに合わせて「わかチョコ」を開発。当時プレスリリースを学んでおり、自身で作ったリリースを秋田魁新報社に送付し、新聞記事で紹介されることとなる。新聞に取り上げられた理由は大きく分けると 3 つあると考えられる。
①季節のイベント「バレンタイン」を絡めていたこと。
②「佃煮屋とチョコ?」という意外性があること。
③地元企業の商品開発という地域性があること。
時節を含んでいる上意外性・地域性もあるところに、記者の「記事にしたい」という食指が動いたといえる。結果、秋田魁新聞の掲載を見た他のマスコミの取材がどんどん続き、最終的には数カ月で20社のマスコミ取材を受けるという反共を生んだ。「TV の全国放送にも大きく紹介されたことにより、ネットショッピングの楽天市場で、瞬間的に日本で一番売れた食品となり、メディアとプレスリリースのすごさを知った。さらに“○○で初めて”“日本一○○”は、まず間違いなく記事になる。自社には紹介出来る事がないとあきらめるのではなく、一歩踏み込んで出来る事をやって欲しい」と佐藤氏は話す。

企業の4つの発信の仕方

ここで学び取りたいのはこの「パブリシティ戦略」。企業が宣伝費を払って広告を出すのではなく、マスコミに記事や番組で取り上げてもらって、顧客に告知するという方法だ。大手企業ならば多額の広告宣伝費を費やすことができるかもしれないが、当然そういった企業ばかりではない。広告費もほとんどなく、広報スタッフもいないという中小企業はたくさんある。こういう企業にとっては、「パブリシティ戦略」はとても重要になると言える。
そもそも顧客(潜在顧客・休眠顧客を含む)に対しての企業のアプローチ手段は大きく次の4つに分けられる。
A.マスアプローチ(新聞やチラシなどの広域)
B.パーソナルアプローチ(ダイレクトメールなど)
C.インストアアプローチ(店内手配り・POPなど)
D.パブリシティ(マスコミの記事や番組など)
結果佐藤食品㈱はDのパブリシティにより会社自体の知名度も上がり、それに伴って多くの方に興味を持ってもらえたことになる。しかも費用はゼロ。そして広域訴求であるからその効果は絶大だ。

社員の「やりがい」にも繋がる

社内にも変化があったそうだ。新商品がメディアに取り上げられることが、社員としての誇りとなり、働く意欲につながってきている。それが次のより良い商品を生み出すことにもつながってる。会社の「広域アピール」と「社員の意欲向上」を生み出している佐藤食品㈱の新商品開発とパブリシティ戦略の実践は社内に良いサイクルを生み出しており、我々にとっても学ぶことが多い。
取材・文/広報委員 二方淳介
太陽印刷株式会社 専務取締役
写真/広報委員 二方淳介
太陽印刷株式会社 専務取締役
会社概要

佐藤食品株式会社
創 立:昭和7年4月
資本金:1,000万円
事業内容:食品製造・販売
サイト:https://www.satousyokuhin.co.jp

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