企業探訪

企業探訪 vol.003
株式会社 トースト(仙北地区会)
自然の摂理に逆らわない伝統野菜の素晴らしさを拡げてゆきたい。
【2014年6月号】農業を発展的に創造していく事で、皆さんが幸せと感じる瞬間のお手伝いがしたいと言うのが㈱トーストの原点。「地元の野菜を主役にする」から、「唯一無二の価値を伝える事で無二の農業支援へ」の取組みに対する考えが発展する中で、行き着いたのが「秋田の伝統野菜」でした。「その地に宿された生命力には意味がある事。「秋田の伝統野菜」を守るために活動を始めた㈱トーストの取り組みを4 月の仙北地区例会で知り、企業探訪という形でご紹介いたします。

市場に出回る農産物「F1種(1代雑種)」とは?

 「F1」とは、聞きなれない言葉ですが、品種に関する用語で「雑種一代」を意味します。雑種一代とは、交配によって作られた新品種の一代目ということです。今日品種改良されてできた新品種のほとんどが、F1(1 代雑種)と呼ばれ、かけ合せる優性と優性の性質が1 代目には必ず出るメンデルの法則が利用されています。例えば片方のトマトが「甘い」、片方のトマトが「日持ち」がする。これを交雑した場合、その特徴が優性だとすれば1 代目には必ずその性質がでるそうです。だから「甘くて日持ちがする」トマトが出来上がります。そうやって出来上がるのが「F1」と呼ばれるものです。今私たちが食べている野菜はほとんどがF1。市場はF1 が主流になっています。

なぜF1が主流になっているか?

 なぜF1 が主流になっているのか?それには理由があります。それは望む性質を掛け合わせてできているので、市場に適合され、美味しいものができていることです。F1の性質として「生育が早い」「しっかりしている」「形が揃ってる」。この「形が揃っている」に着目すると、その性質ゆえ「一定の箱に入る」といえるので出荷効率が良い。また「葉や茎がしっかりしている」ということは、結束しやすいという部分や、「皮の厚さ」は機械洗浄に耐えることができるといえます。大量生産するために生産者の生産効率がF1によって格段に向上しました。一方販売者や外食産業としては「日持ちがする」「傷みにくい」など、ざまざまなニーズに応えているのがF1 なのです。だからこそ市場の主流になって日本の西から東まで安定して食することができるのもこのF1 の恩恵なのです。

メリットだけではない、F1の欠点とは?

こんなにメリットがあるF1 だが唯一の欠点があります。それは「種を買わなければならない」ということです。第1 世代の交配で生まれる次の世代は、分離の法則で全く違う性質を持つことになります。1 世代目では生育が早い」「しっかりしている」「形が揃ってる」などさまざまな利点の性質をもっているのですが、2 代目・3 代目ではその性質が受け継がないものができてきます。だからこそ「種をとっても意味がない」「種を買わなければならない」という
ことが発生してくるのです。

F1の対極となる固定種とは?

F1 の対極の存在ともいえるのが固定種です。その土地の気候や風土の順化して安定していった作物が固定種と呼ばれています。F1 が主流になる前は、自分のところで種をとって固定化された野菜を採って食していました。その固定種はF1 とは対照的で「毎年種が取れる」だから「種を購入しなくても良い」という利点があります。また自然の摂理でその時取れたものを楽しむわけですから、「旬」の楽しみもありました。さらにはその土地さまざまの気候・環境に耐え旨みを蓄え生育していく訳なので、固有の味が生まれ、農作物に個性が生まれる、それが固有種の伝統的な味わいなのです。その土だから美味しく育つことができる地域特性・土壌特性があり、土地で育ったものを他にもっていっても再現されない、そういった作物が固定種の中に存在し個性を放っているのです。しかしながら固定種には欠点もあります。それは「生育が遅い」ということです。F1 は一斉に発芽し収穫できるので大量生産に適しているのに対し、固定種は大量生産には適してません。よって大量に作って市場に流す今のやり方にはそぐわない上、形も均一ではない。ようするに現在の市場のニーズにあっていなく、淘汰されているという現状なのです。

秋田の伝統野菜とは何か?

秋田の伝統野菜は①昭和30 年代以前から県内で栽培されているもの。②地名・人名がついているなどして秋田県に由来しているもの。③現在でも種子や苗があり、生産物が手に入るもの。この3 つの項目を満たす品目としています。それではこの伝統野菜をつくる意味とは何なんでしょうか?それは「ここにしかない」という価値なのです。固定種同様、決まった土壌で育ちその美味しさが再現されるのです。その価値が素晴らしいのだと㈱トーストの関口さんは語られました。その風土で育てられたからこそ備わった野菜の「らしさ」がある。また伝統野菜は栽培の歴史も包括しています。昔からの地形を反映した栽培・農法もあるとともに、伝統野菜を使った食文化も存在しています。 伝統野菜を守るということは、地域の特性を守ることにもつながりますし、先人が築き上げてきた様々な知恵を保存することにもつながるのです。

仙北市は観光地、だからこそ伝統野菜。

仙北市は温泉も多く、秋田有数の観光地です。たくさんの人たちがここにしかない物「風景・温泉」を求め訪れます。ただそれだけではありません。そこには「食」もあるのです。きりたんぽという郷土料理を提供するにしても、秋田の伝統野菜の三関のせり(湯沢市)を使っているといえるエリアが存在すれば、それは大きな価値が生まれるのです。そこにしかない物を体感して訪れた人に満足してもらう。「秋田だけ」という価値を高めていくことは地域に人を集め、活気あふれる地域になっていくのだと思います。また伝統野菜が脚光を浴びれば、作り手にも光が当たる。それが就農の基礎にもなるのではないでしょうか?

今地域の食文化が失われつつある。

秋田県の地名や人名、形状や栽培方法を冠した伝統野菜。これらは、品種の特徴だけではなく、気象や土地の条件、栽培技術などによってその土地固有の味として伝えられてきたものです。しかしその多くは味のよい優れた食べ物でありながら、手間のかかる栽培や加工技術、収穫や収量の多い改良種に押されて徐々に栽培する人はすくなくなっているのが現状です。このままでは地域の文化が失われ「秋田だけ」という特性が失われてしまうかもしれません。果たしてそれでいいのでしょうか?

固有種・伝統野菜を守りたい。

㈱トーストの関口さんは最後に「仙北市を伝統野菜の先進地にしていきたい。そのために弊社がまずできることは情報収集。自家摂取して何十年も種を取られている方が必ずいるはずです。その人たちから種を集め、共同作物研究会を通じ秋田県農業試験場にお願いをし、種の確定をする。そしてデータベース化し次世代にその種をつなぎたい。種にはタイムリミットがあるのです。秋田の郷土野菜・伝統野菜を守るために、ぜひ弊社で汗をながしたい。」と熱い想いを語られました。長年自家採種を続けている農家の情報がありましたらぜひご連絡をお願いします。
取材・文/広報委員 二方淳介
太陽印刷株式会社 専務取締役
会社概要

湖畔の杜レストランORAE ㈱トースト
〒014-1204 秋田県仙北市田沢湖田沢春山37-5
TEL:0187-58-0608
Fax:0187-58-0609
■ホームページ:http://www.orae.net

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