企業探訪

企業探訪 vol.052
株式会社カネヒコ(秋田地区会)
先代が築いたお客様の信頼のうえに、革新の風を吹かせて
【2018年9月】昭和47年に創業し、今年で46年目を迎える株式会社カネヒコ。初代である父から事業を受け継ぎ、阿部大助さんが入社したのは、20年前の30歳のとき。代表取締役となったのは37歳でした。事業を受け継ぐ経緯や、初代から受け継ぎ守っていくものと、時代に合わせた革新とを伺ってみました。

大手企業SEから一転。実家の事務機器を扱う事業を承継

 株式会社カネヒコに入社して7年、37歳で代表取締役に就任し会社を継ぎました。それまで東京の大手企業で金融関係のシステムエンジニアとして仕事が面白くなっていた時期、会社から突然ニューヨークへの転勤を打診されたといいます。栄転でした。
 「この辞令を受ければ、おそらくは、ずっとこの会社にいることになり、実家の家業とはまったく縁が切れてしまう」と、感じました。父に相談すると「ニューヨークに行ってもいい」という返事。息子を自由にさせてあげたい、という親心だと思われます。「しかし、はたしてそれでいいのか?」 あらためて父のこと、事業のことを考えてみました。幼いころから住職接近で、ずっと父が夜遅くまで働く姿を見ていた阿部社長は、秋田という土地、父の姿に惹かれ、最終的には実家の事業を継ごうと決心します。

「困ったときはカネヒコに相談すれば大丈夫」という大きな信用を守りたい

 2代目として事業を承継した当時、強く感じたのはお客様からの厚い信頼でした。 「『困ったことがあったら、カネヒコさんに相談すれば大丈夫』というお声をいただきました」。 それは先代が培ってきた宝でした。
 扱う商品は、主にデジタル複合機やパソコンの販売とメンテナンスですが、お客様の要望に合わせて、その後、扱う商品が多彩に増えていきました。それは、まさに「痒いところに手が届く」といった日々の丁寧な対応から生まれたものにほかなりません。近年は、事務用文具などネットで注文すれば翌日には会社に届くという便利な通販が親しまれています。それでも「使いやすいポールペンほしいのだけれど、お願いできます?」という小さな商品の依頼も少なくないといいます。 「オフィスで使うものは、なんでも扱います」といい、先代が築いたお客様との信頼を、たがわず受け継ぎ、さらに強い信頼へとつなげていくことが大切だと阿部社長はいいます。

新しい取り組み。「環境対策実施要綱」で異色の存在に

 取締役に就任してから早々に、独自の「環境対策実施要綱」を作成し、全社を挙げて取り組みました。 「小さな会社なので大手には勝てない。ならば、できることは限られていても、取引先も巻き込めれば、独自性を出してアピールすることはできる、と」。 

要綱に記載されている活動を具体的に見てみると――
・電子回覧により紙の社内資料を削減。(紙資源消費削減、ごみの軽量化)
・使用する紙は再生紙。(同)
・お客様に積極的にエコ製品を提案する。(塩ビ製品の使用削減、同)
・グリーン購入品目を拡大。(環境への負荷軽減)などがあります。

 今となれば当たり前に行われている項目もありますが、作成当時は先進的で、じわじわと取引先にも浸透していきました。 要綱は現在でも、さらにパワーアップして実行されています。そして、オフィスの環境対策といえば、さまざまな分野から同社に声がかかります。
 「販売会社だから、リサイクル推進に取り組みやすかった」と阿部社長はいいますが、新しい取り組みが、会社の独自性を生み出す好例といえるのではないでしょうか。
取材・文/杉本 薫
行政書士オフィス薫 代表
会社概要

株式会社カネヒコ
〒010-0966 秋田県秋田市高陽青柳町17番地64号
TEL:018-823-8317 FAX:018-864-6353
主取扱商品:デジタル複合機、パソコン、パソコン周辺機器、デジタ
ル家電、一般家電、オフィス用家具、事務用文具、メンテナンスなど

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