企業探訪
企業探訪 vol.039
早口木材株式会社(男鹿南秋地区会)
地元の木々ももっと活用し里山の循環にもつなげたい!
【2017年8月】今月の企業探訪は男鹿南秋地区会です。男鹿市船川に位置する早口木材(株)さんに訪問してきました。対応して頂いたのは、代表取締役 大坂真一さんの息子さんで専務取締役の元(げん)さんです。元さんは2013年に帰郷し同社に就職、なかなか後継者がいない業界の中で、貴重な存在です。
100%秋田杉の天然乾燥材羽柄材(下地材)を主力に
会社概要を伺ったところ、創業者の元さんのお祖父さんは大舘の製材所で働いていたこともあり、秋田県の誘致企業として昭和42年に船川の現在地に設立されたそうです。早口木材さんの会社名は所縁ある大舘の早口という地名からとっています。従業員は現在8名、使用樹種は100%秋田杉、取り扱い商品としては羽柄材(下地材)と呼ばれる建物の内部で使われる部材を製材されています。創業時は秋田木材コンビナートの一員としてロシア材の専門工場として稼動しておりましたが、平成15年より秋田杉製材に進出されたそうです。秋田杉の良材の出材地である米代川流域の原木を製材後4ヶ月から1年の期間を男鹿半島の潮風で丁寧に時間をかけ天然乾燥し、健康に配慮した住宅部材の生産を行っているとのこと、ここで詳しく乾燥のさせ方や木材に関しても詳しくお話を伺いました。
健康志向の高まりや安心・安全の意識向上で天然乾燥材が注目
木材の乾燥方法には天然乾燥と人工乾燥の2つがあるそうですが、乾燥をさせていないグリーン材、人工乾燥のKD材、天然乾燥のAD材を実際に見せてもらいました。含水率が低ければ良い木材と言えるそうですが、低過ぎても良くないらしく、理想は15%~20%との事。早口木材さんは海が目の前に位置するところで、男鹿の潮風で6ヶ月間じっくりと天然乾燥されることで、色艶や香りを損なうことが少ない優れた秋田杉材ができあがります。化石燃料を使わず環境にも優しい男鹿の資源を活用した方法で、精度も高く、短納期、低価格を実現されています。このこだわりが早口木材さんの最大の特徴とも言えますが、特に近年健康志向の高まりや安心・安全の意識向上で住宅メーカーや工務店さんから部材使用を指名されることも多くなっているそうです。
最終的なエンドユーザーは住宅に住む人
羽柄材は通常は家を建てている時にしか見えず、完成すると壁材や天井材などよって隠れてしまい見えなくなってしまいます。この羽柄材の役割は構造材をサポートすること。羽柄材がしっかりしていないと構造材が本来の力を発揮できず、地震や台風などの災害に弱い建物になってしまいます。また、長い年月が経つにつれ、不具合が生じることも考えられます。『目に見えない部分だからこそ、しっかりしたもの、安心できるものを使ってもらいたい』、との想いも伺えました。実際は本当のエンドユーザーまでの間に、お取引が複数入っているのですが、製材のお仕事も実際に家に住む人に想いを馳せ行う事は重要だ、との事で学ばせて頂きました。
木材は余すところなく、有効利用されて
製材している工場内、乾燥させている現場や樹皮を剥いた状態の丸太、なども見せて頂きながらお仕事の流れも説明頂きました。ここで疑問に感じた木材のくずやごみになるような部分の扱いに関して伺ったところ、通常産業廃棄物になるような部分は粉砕機で細かくしチップやおが屑になり、製紙会社や養鶏場、バイオマスとして利用される企業が回収し活用しているとの事。それが細かく仕組みができているところに感動しました。地元の木々を活用し里山の循環につなげたい
今後の展望に関して伺ったところ、課題としては技術継承があげられるとのことで、新卒やインターンなどもできる範囲で挑戦していきたいと語って下さいました。製品開発としては、レーザー加工を施した表札をはじめ木に触れてもらう機会を増やす事に力をいれていきたいとの事でした。木材を少しでも身近なものに感じてもらいたいという思いのもと、多くの人に関心を持ってもらい、気軽に利用できるものを考えているそうです。また、地元の木々ももっと活用し里山の循環にもつなげたい、と熱く語る元さんの様子がとても印象的でした。地元への想いと環境や自分の仕事がつながっている感覚、これは私自身もとても共感し業種や扱うものが違っても大きな目的は似ているところがあると感じました。元さんお忙しい中ありがとうございました!とても勉強になりました。
取材・文/文責:福島智哉
(㈲福島肉店 専務取締役)
(㈲福島肉店 専務取締役)
- 会社概要
早口木材株式会社(はやぐちもくざい)
〒010-0511 秋田県男鹿市船川港船川海岸通り一号12-4
TEL0185-24-3335
PICK UP /ピックアップ