企業探訪
企業探訪 vol.050
株式会社ひろまる食品工房(男鹿南秋地区会)
地域に感謝、社員に感謝。そして実践をもって、男ん鹿がえし(おんがえし)!
【2018年7月】今月の企業探訪は男鹿南秋地区会です。訪問先は男鹿市船川の株式会社ひろまる食品工房です。地元で愛され続けて50年近くになる食堂「省吾」のお話も含め、代表取締役の竹谷一広さんに、創業のルーツから近年の取組や展望についてお伺いしました。
男鹿の食材を活かしたメニュ-が好評で大繁盛!
食堂「省吾」は、先代のお父様が始められ、食堂経営と男鹿市地域の企業への社員食堂を担い、メニューは、男鹿の伝統食でもあるしょっつるやハタハタを活かした「しょっつる焼きそば」「ハタハタ丼」をはじめ「フグ」や地場産素材を活用した人気メニューがたくさんあり、創業時から変わらぬ配達先も多く、たくさんの方々から喜ばれております。そのほかに男鹿市役所の売店事業も担っています。また、社長の竹谷さんは、男鹿なまはげロックフェスティバルの初期からのメンバーでもあり地元の様々なイベントでも活躍されている存在です。地元で生き残るために方針転換
家業を継ぐ気がなかった20代の昭和60年代、静岡県の卸売市場で青果の仲買のお仕事をされている中、お父様から忙しいから戻って来てほしいと連絡があり、戻られて後を継いだそうです。当時、ここ船川港は築港終盤、石油関連企業も多く入り漁業以外でも盛り上がり、繁華街に位置する食堂省吾付近は、秋田市の川反に並ぶような賑わいを見せていたそうです。近年は人口減少の影響も大きく状況は一変。10年程前から社員食堂のお仕事や市の委託事業なども増やし会社の規模も大きくされました。地元で生き残るには売り上げを創れる仕事はどんどん受ける方針だったとのことです。新しい事業への挑戦、挫折を味わう
海産物の加工に着眼したのは6年前の平成24年。港町でありながら加工場や商品もほぼ無かったことに、「待つ商売」から「売りに出る商売」へと考え、翌年の平成25年に地元の水産資源を活かした加工会社としてひろまる食品工房を設立しました。男鹿産のなまこやイカ、エビの加工品を世に出すことを目的に取り組みましたが、仕入れや製造のノウハウが十分に無かったため、なかなか事業を軌道にのせる事ができずにいたそうです。仕入れには大額なお金が動き、販売からお金の回収というスパンが想像以上に長かったため資金繰りも難しかったそうです。気が付けば社員は合わせて30人程と増えてはいたものの、社員との意思疎通がうまくとれず、商品の質などがとても低くなり、新しい一手もなかなか出せずに悩んでいたそうです。2年前の平成28年、秋田同友会の仲間からのお声がけで、佃煮屋さんが使用するイカの加工、「のしいか」の製造に着手することになりました。その社長からのご紹介で、潟上市の多くの佃煮屋さんに商品を納めることができ、現在は、関東の佃煮メーカーさんにもつながり、作業が追い付かずにいるそうです。
良質な「のしいか」は社員たちの努力の賜物
工房の扉を開くと、黒い自社Tシャツをまとった社員さん達が快活にテキパキ動く様子と、大量ののしいかが並び裁断される様子が目に飛び込んできました! のしいかの製造工程は 生イカを原料とするのではなく、干したスルメイカを原料として仕入れ、薄皮を剥き、茹で上げ、薄くのばすのし機にいれ、細断、とわけられます。薄皮を剥く作業が最も人の手と時間がかかる工程で、今後の人員確保が課題ともお話されていました。しかも、これまで、原料となるスルメイカの仕入れは安定せず、大きさ、冷蔵・冷凍、と状態の規格もバラバラで、同じ大きさで良質なのしいかをつくるには難しかったそうです。今後船川産の生スルメイカから製造したいという旨も頂きました!しかし、そんな条件でも切磋琢磨し、努力してきたからこそ社員の技術も向上し、効率も上がった部分もあるそうです。また、温度管理や衛生管理を徹底的に意識し、安全安心、「人に良い」食の提供も方針に掲げています。地元への感謝と恩返しが形に
のしいかのお取引が増えているのも、ひろまる食品工房で作られる「のしいか」が良質と認められてきた証でもあると感じました。また10年後ヴィジョンに「のしイカシェア世界NO.1」を掲げた事も社員さんとの共有や対外的な部分での評価や斡旋も進んだそうで、少しずつ業績もよい方向に向かっているそうです。そして、「男鹿」と「恩返し」をかけたオリジナルの掛け紙を作成するなど、地元への感謝と恩返しを形にしていこうという意気込みには脱帽でした。お話を伺いながら行動力とスピード感を感じた時間でもあり、私も竹谷社長を見習い、今後も地元の仲間として共に良い地域づくりをしていきたく思いました。取材・文/福島 智哉
㈲福島肉店 専務取締役
㈲福島肉店 専務取締役
- 会社概要
㈱ひろまる食品工房
〒010-0511 秋田県男鹿市船川港船川字片田71-26
TEL:0185-27-8385 FAX:0185-24-3476
ホームページ:http://akita-hiromaru.co.jp/
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