企業探訪

企業探訪 vol.006
ダイキョー精機株式会社(秋田地区会)
業績V字回復!~利益は社内に転がっていた~
【2014年11月号】第6期経営指針を創る会を受講し、創りあげた経営指針書を手に社内で実践を重ねている渡部幸悦社長。「会社の業績がV字回復になったのはなぜか?」を取材してきましたのでご紹介いたします。

社長が自社の業に「自信と誇り」を取り戻す。

渡部社長は昨年の第6 期経営指針を創る会を受講するまで「こんな会社継ぎたくなかった」と心の奥底で思っていました。「機械も古い」「建物も古い」「借金だらけ」。しかし自身に秘めたその想いを口にしてはいけない。なぜならば他者に口にすることはそれを認めてしまうこと、そして自分自身が前に
進めなくなると思っていたからです。しかし経営指針を創る際自身と向き合うことは絶対でした。 結果、経営指針を創る会を受講中に、自身の弱さをと向き合い、そしてその事実を認めることに。その苦悩の中「なんのために経営しているのか?」を明確にし、経営者の魂とも呼べる「経営理念」を成文化しました。その取り組みの中で「自分の業に対する誇りと自信」を取り戻すことができたのです。

会社の財産は社員の皆さん!あなたたちだ!

自社にある設備は日本中に有り触れている。→その設備からつくる製品はどこでもできるといえる。→では弊社で売っているものは製品なのか?→弊社で売っているものは「信頼」だ。だからこそ「納期を守る」「品質を守る」ということが非常に重要なのだと。しかし実はこの当たり前なことが守れていない会社は全国に多い。よくよく考えると「設備を使うのは人」「納期を守るのも人」「品質を守るのも人」。やはり「人」なんだと気づいた社長は社員に次のように語ったそうです。 「我社で設備を上回る財産はあなたたちだ。」 「会社はだれのものだ?あなたたちみんなのものだ。」 社長が心の底から想い、社員に語ることで会社が変わり始めたそうです。そして社員に任せることでみんなが会社の問題に立ち向かうようになりました。

「安売りをしない」と決めた。

 以前は「安くしないと仕事がとれない」「そうしなければ仕事がなくなる」と思っていた。しかしそれは「自分の中に生み出したモンスター」だった。経営指針を創る会たどり着いた一つの答えは「安売りをしない」ということです。価値判断は値段だけではない。自社の強みは短納期にも応えられる、そして品質も良いというところ。そこを含めたのが弊社の商品の値段なのだ。だからこそ今は自信をもって値段の裏付けを語りお客さまと商談するそうです。そして安売りをすることそれは「強みを活かしていないこと」「社員を安売りすること」と力強く語られました。

情報共有が大切!利益は会社に転がっていた。

短納期に応えるために大切なことは無駄をなくす・効率を上げるための「情報共有」。ある日、自社のお客さま窓口・工程管理を担当する女性社員が次のように社長に発言したそうです。 「社長!私に朝礼をやらせてください!」 それから彼女が朝礼の中で社内の生産の状況を確認し、次の工程にも根回しをするように。社内全体の情報共有と外注先との情報共有を実現。それによって無駄が大きく削減されたそうです。今までは納期に間に合わせるために、自社で1日に二回(往復5 時間・計10 時間)も走らせていた車は今はなし。社員が自主的に問題と向き合い、自主的に解決する。この情報共有が生み出した利益は大きい。利益がでるようになったのは取引先が増えたことより、自社にある無駄に気付き問題を解決できるようになった社員の成長な
のだと。まさに「利益は会社に転がっていた」と語られました。

社長が変わること、社員に任せること。

 経営指針を創る会を受講し「自信と誇り」を取り戻した。その心をもって社員に語りだし、社員に任せることに。それを受け止めた社員の行動が変わり会社が良い方向へ。渡部社長の実践事例を通して、社長が変わり社員と真剣に向き合うことの大切さに改めて気づいた次第です。 最後に渡部社長が新規顧客に対しての営業の決め台詞をご紹介します。 「うちの良さは付き合ってみなければわかりませんよ。」 語られた社長の顔は「自信と誇り」に満ちていました。
取材・文/二方淳介
太陽印刷㈱ 専務取締役
会社概要

ダイキョー精機株式会社
〒018-0311 秋田県にかほ市金浦字蒲萄森41-1
Tel:0184-38-2202
Fax:0184-32-4020
■ホームページ:http://www.daikyo-seiki.co.jp/

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