企業探訪

企業探訪 vol.036
有限会社道儀商店(秋田地区会)
30年間専業主婦、私経営者になっちゃった
【2017年5月号】今月の企業探訪は、秋田地区会員の有限会社 道儀商店. 取材に応じてくれたのは、代表取締役の松原朋子さん、娘である総務の松原真優美さん。常任理事の横山真司さん(㈱ヨコヤマコーポレーション)と太陽印刷の二方で取材して参りました。

会社の起こりは昭和26年

 道儀商店を訪ねて一番初めに目にしたのは金属の山。多くの金属が会社の敷地内に所狭しと種類ごとに置かれていて、社員さんが重機を操作して作業をしていました。道儀商店の事業内容は廃品回収(鉄・非金属屑)、産業廃棄物処理。早速朋子さんと真優美さんに会社の起こりを聞いていくことに。
 会社の起こりは昭和26年。現在代表取締役の松原朋子さんの義父が個人商店として始めたそうです。当時は戦後で鉄などの金属の価値が非常に高く、社会に必要とされていました。どのような流れで事業をはじめたかは不明ですが、その後、朋子さんの夫が事業を承継し昭和51年に法人設立、有限会社道儀商店となります。とにかくカリスマ的存在で仕事熱心な夫。今までがむしゃらに会社を切り盛りされてきた話を伺いました。

突然の「夫の死。」

 平成27年に、当時代表取締役だった朋子さんの夫(松原久夫さん)が亡くなり、突如会社の経営の中核にぽっかりと穴が空いてしまいます。外部から経営者を招くなどの選択も考えたそうですが、最終的に朋子さんが経営を引き継ぐことになりました。しかし今までずっと専業主婦だった朋子さん。実際仕事をするのは約30年ぶり。その当時の不安な気持ちを取材中に振り返られていました。会社の中にも協力してくれる方がいたとは思いますが代表取締役に就任する際、自身の娘さんである真優美さんに「手伝ってくれ」とお願いをしたそうです。

娘さんの協力が力となった。

 娘の真優美さんは大学進学のため東京へ、フランス語を学んでいたそうです。大学卒業後はそのフランス語を活かし、IT 関連の企業に就職されました。システムエンジニアとしては全く知識がない状態でのスタートでしたが、自身にあっていたのか、「すごく楽しかった。」「性に合っている。」など笑顔で話されました。
 父の他界。そして「秋田に戻ってきてほしい」と母からの相談受け、「社長の力になりたい」という気持ちも大きかったのと、嫁ぎ先の両親や夫の理解もあり、秋田に戻ってきて現在に至るそうです。朋子さんは娘が戻ってきてくれた時のことを振り返り「本当に心強かった」とお話しされました。

これから我社に必要なことは?

 金属の値段は東京製鉄が相場になっているそうです。為替のように変動するので、仕入れをしたときより売却するときに相場が高い方が利益が大きくなります。
 また中国経済の成長の鈍化で、近年は世界情勢が大きく変化しています。金属の価値やこのマーケットが今後どうなっていくのかの討論にも至りました。討論の中でヨコヤマコーポレーションの横山真司さんは、中国が鈍化すれば次の途上国へとそのニーズは引き継がれるので、マーケットは安定しているほうだという考えをお話されました。
 しかしマーケットが安定しているだけでは、事業がうまくいくとは言えません。なんのための道義商店なのかという「理念」の確立と成文化、そして社員さんとの共有が必要だと、自社の課題と照らし合わせ、朋子さんと真優美さんが話されました。そして今期、「第10回 経営指針つくる会」を受講する決断をされました。

障がい者が生きる社会を目指して

 取材の最後で朋子さんが社長に就任されて、新しく始められたことを話されました。実は朋子さんの息子さんは障がい者。今までの人生の歩みの中で、残念ながら「障がい者が生きやすい世の中」とは言えないと語られました。自身の事業でこの課題の解決の一助になることはできないか、と考え福祉施設に「銅線の皮むき」の仕事を依頼しているそうです。
 「障がい者が生きる社会」を目指す。自らの決断で新しく始めたことを話される朋子さんから、経営者としての「優しさ・力強さ」を感じ、取材している私たちも改めて経営者の役割を振り返る機会となりました。ありがとうございました。
取材・文/二方淳介
太陽印刷㈱ 専務取締役

横山真司
㈱ヨコヤマコーポレーション 代表取締役
会社概要

有限会社 道儀商店
〒011-0951 秋田県秋田市土崎港相染町浜ナシ山117
TEL 018-845-6687

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