会社の成り立ち

　湯沢市皆瀬にある栗駒フーズは、農事組合法人皆瀬牧場を中心とした300頭の搾乳牛を育成している７人の仲間が通産省資源エネルギー課と温泉が湧いている皆瀬村の指導を受け昭和62年10月に「株式会社栗駒フーズ」を設立しました。「地熱エネルギー利用モデル事業」より全国で初めての温泉熱を利用した、乳製品の処理加工場を建設し、昭和63年4月より営業を開始したそうです。小さくても自慢できる最新の自動化された設備をそろえ、工場内の製品が外から見えるように機械を配置しています。また、栗駒フーズのキャラクターは、釣りキチ三平
の作者 矢口高雄さんが隣町のよしみとのことでかわいいクマと後ろに栗駒の山をデザインしてくださったそうです。

栗駒フーズの強み

　栗駒フーズの乳製品は、とても味わい深く、後味がすっきりして口に残らないのが特徴です。高温殺菌や、超高温殺菌で大量生産される乳製品とは違い、地元の温泉熱を利用し、摂氏65℃迄下げた温泉で30分間の低温殺菌をして丁寧に時間をかけて生産しているところに違いがあるようです。ヨーグルトの場合、乳酸菌が１ml あたり1,000個以上あれば乳酸菌飲料として販売できるそうですが、高温殺菌されると、ほとんど菌が少なく、腸に届かないことが多いそうです。その点、低温殺菌だと乳酸菌が１ml あたり１２億個も生きているので、どろっとしている食感があるもののしっかりと腸に届く乳酸菌が豊富ということになります。その分、大量生産ができないのは弱点であるものの、「『よいもの良い』と言ってくれる方に届けたいので、これからは広告販売もうまくやりたい。大手さんにつぶされない程度に（笑）」と高橋社長はおっしゃいます。
　日本各地で低温殺菌のヨーグルト、チーズ、アイスクリームを作っているところはあるそうですが、温泉を利用して生産しているのはここだけということです。また、ヨーグルトを毎日飲むのが大変だとするとサラダにドレッシングとして利用もよいそうです。季節の野菜や果物と一緒だとなお良しとのことです。事務局の湯澤さんのおすすめは、ヨーグルトに粉チーズ混ぜて、サラダドレッシングとして利用するのがまたおいしい
とのことです。

心を込めてできた商品

　春は花粉症対策で『れんこん入りヨーグルト』を販売しています。こちらは埼玉歯科大学　和合治久教授の指導を受けて茨城県産のれんこんを粉末にしてヨーグルトに入れています。飲みやすく、さっぱりした食感になっています。そのほかに、コラーゲン、米麴入りなど「男の！ヨーグルト」や「栗駒高原PREMIUM ヨーグルト」「腸若返りヨーグルト」等の商品も生み出して販売しています。夏場はアイスクリーム、ソフトクリー
ムがよく売れていますとのことです。牛乳、ヨーグルト、アイスクリームがメインの商品は、ネット販売もしていらっしゃり、アイスクリームは三重県で、ヨーグルトは遠くの鹿児島でも販売されているそうです。秋田県内では、横手市 ふるさと村、湯沢市 ビフレ内、秋田市　西武デパート、マルダイ（牛乳のみ）で販売されています。

地域に愛される会社を目指して

　これからの会社経営についてお聴きすると、中高年の方への広告宣伝をどのようにしていくかが悩みどころと。そして地元スーパーで地産地消できるように地元の方に飲んでもらい、その方々から口コミで広まっていければ理想とのことともおっしゃっていました。秋田といえば『栗駒フーズ』となるようにしたいと語ってくださいました。

訪問して

　私はふるさと村に行くといつもソフトクリームをいただいており、どんな会社かすごく興味がありました。高橋社長は穏やかな口調でお話をされる方で、凛々しい方だなと感じました。小安温泉がある皆瀬という大地の恵みに感謝しつつ、地域活性のために日々社員さんと努力されている姿に感動しました。昨年、家族で工場横のお店にいきましたが、自然の中でおいしいソフトクリームや牛乳が飲めてゆっくりできました。
これからも益々の発展と秋田を代表する会社となっていただくことをお祈りしています。