会社が変わったストーリー
CASE STUDY 02
SATO TOKUTARO SHOTEN
新卒採用で会社が変わった
(有)佐藤徳太郎商店 代表取締役 佐藤進幸 氏
共同求人委員会副委員長
共同求人委員会副委員長
「10年後、会社は?」と問われて
佐藤進幸((有)佐藤徳太郎商店代表取締役)が秋田同友会に入会したのは7年前(2009年)。近所で会社経営をしている幼稚園からの同級生が、同友会の役員として活躍している姿を見ていて「お前も入らないか」と誘われ、「会社の後継者として経営の勉強をしてみるのも悪くないな」と感じたからでした。まもなく出席した例会で、先輩会員から「10年後の自社が、どうなっているか考えたことはありますか」と問われました。「改めて考えてみると、当時の社員20名のうち11名が70歳を超える年齢になることに気づき、青ざめました」と佐藤氏は言います。
「ハローワーク?掲載料は?」
からのスタート
さっそく、10年後の会社でも働いてもらえる年齢の社員の採用に挑戦しました。それまでの求人・採用は、社内や地域の口コミだけで行っておりました。しかし、今回はなかなか応募者が現れません。以前に比べて、市内や会社の周りの地域から若い人が急速にいなくなっていたのです。佐藤氏が、当時社長だった父親に「このままでは人が採用できないから、ハローワークに行ってくる」と相談した時のことです。社長からは「ハローワークか?それもいいかもしれないが…。掲載料はいくらかかるんだ?」という答えや質問が返ってきました。「よく聞いてみると、社長は公共職業安定所の愛称がハローワークとなっていることを知らず、またはハローワークとハローページを混同していることがわかりました。長い間、社員の採用が少なく、地域内からの口コミや縁故採用だけで充足できていたからでした」と佐藤氏。
さまざまな出来事がありましたが、2012年に4名を中途採用しました。しかし4名のうち1人はすぐに退職。またある社員は仕事を覚えようとせず、結局退職するなど悪戦苦闘が続きました。
「経営指針を創る会」で学んだことの実践
~新卒採用に踏み出す~
その間、2011年に秋田同友会の「第4期経営指針を創る会」を受講し、経営理念を確立します。そして「仕事ができるようになるまでは半人前、仕事は見て盗め」というような、人が育ちづらい社風の改革に取り組みますが、うまく行きません。会議でも、佐藤氏が話している時間以外は沈黙と静寂が続き、休憩時間になると元気な声が響くという日々が続きました。秋田同友会の共同求人委員に就任し、宮城同友会の合同企業説明会を見学したのは、その悪戦苦闘のさなかでした。宮城同友会の役員から「新卒採用をして育てたほうがいいよ」とアドバイスを受け、いよいよ、高校卒業者の採用に取り組むことにしたのです。秋田同友会の共同求人活動「高校との求人懇談会」にも参加し、高校を訪問。求人票を届けると同時に、会社と自分を覚えてもらい、先生との信頼関係づくりを目指しました。
新卒採用・入社前から会社が変わった
社内で新卒採用計画を発表したところ、一番若い社員から「俺、一生一番下のままかと思っていました」と、後輩ができることに喜びの声が上がりました。また、優秀な高校生の応募があり、内定の後は「教える」「育てる」意識が高まり、その体制も作られました。社員からの提案で「体験入社」も実施されました。「体験入社」の準備は、商品の写真入りの説明書が作成され、実施プログラムなども社員により自主的に編成されたものです。同時に、会社の雰囲気も大きく変わっていきます。さまざまなイベントでの出店PRでの工夫も、意欲的な取り組みが行われ「いつもは負けていたが、今回はあの会社よりも来場者が多かったよ!」という報告も聞かれるようになりました。そして「誰でも2部門の仕事ができるようになろう」という方針にも具体的な取り組みが生まれ、「それぞれの仕事が一番できる人に先生になってもらって、教え・教わり合う」という社風が生まれて来たのです。会議も静寂の場ではなくなりました。
初の合同入社式で「先輩からの激励の言葉」
~変化は新卒採用から生まれた~
初の新卒入社の社員は、優秀な社員でした。そして、入社1年後の2014年4月には、秋田同友会が初めて開催した「合同入社式」で先輩社員として「激励の言葉」を述べ、出席した経営者からも驚きと感動の声が聞かれました。その入社式には、2年目の新卒採用社員、2名も出席していたのです。経営指針発表会も、毎年社外の方々を招いて開催し、今年は3回目が開催されました。発表会では、社員全員から今年の自分の目標について意欲あふれる発表があります。「幹部社員からは『今期、わが社の緊急重要課題は、社長の嫁さんをみつけることだ』と報告があるほど和やかな雰囲気になってきました」と佐藤氏は言います。この間、 2013年には社長が病気で亡くなり、佐藤氏が代表取締役社長に就任するという激変もありましたが、会社は動揺することなく乗り越えてきました。佐藤氏は「もしも、同友会に入会せず、経営指針も確立していなかったらと考えると、ぞっとする」と語ります。
[取材:2016年]
- 会社概要
- (有)佐藤徳太郎商店
〒018-1401 秋田県潟上市昭和大久保宮の前162−1
●佃煮製造 ●小売 ●卸し
(有)佐藤徳太郎商店 代表取締役 佐藤進幸
サイト:http://www.tokutaro.jp/
経営理念
一、私たちは、自然の恵みを生かし、「昔ながらの味」と健康で
あたたかな食」を広めます。
一、私たちは、「地域独自の食」の発展を通じて、
希望のある地域づくりに貢献します。
一、私たちは、互いに支えあい、信頼される人間をめざし自身と
誇りをもった心豊かな人生を実現します。
社是
信頼、誠意、挑戦心、向上心
同友会に入会して、会社が変わった「ストーリー」
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