企業探訪

企業探訪 vol.015
有限会社 鼎屋(男鹿南秋地区会)
自分のつくった商品に感謝される喜びに誇りを持ち、秋田をアピールしていきたい
【2015年9月号】今月の企業探訪は男鹿南秋地区会会員 ㈲鼎屋(かなえや)の米田賢吾社長です。本社は男鹿市ですが、秋田市の「かなえや菓子工房」で「稲庭かりんとう」や「美人かりん」などの商品を製造しています。

後発社の苦労

 「それだばあるからいらね」「他から取っているから、来ても無駄だよ」。新規の取引をお願いに伺った先々での断りの返事。家業は秋田の特産品の総合卸業。「どこへお願いしに行っても、断られてばかり、収入は増えないのにお金は出ていく一方。凄く焦りました…」。 米田さんは、大学卒業後、一般企業から、飲食業での管理職を得て家業の㈲鼎家(かなえや)に入社します。平成24年9月、35歳の時でした。お父様が50代後半に脱サラをして平成16
年から始められた商売は、業界においては後発社であった為、自身の給料分を稼ぐ為の新規のお客様を獲得するには、とても難儀をされたと言います。

視点を変えるしかない!

 「この商売、飽和状態だ。他社で作られた商品を卸し売りすることにどういった想いを重ねられるだろう。これは自分で商品を作って売るしかない!」と米田さんは自社商品の開発に挑戦することになります。そのヒントは気分転換に山形の銀山温泉に行ったときの『そばかりんとう』でした。「山形はそばかぁ、秋田だと稲庭うどん、うん?だったら同じことができるかも?」とひらめきが行動へと移ります。

「稲庭かりんとう」の誕生

早速、自宅での試行錯誤の日々。乾麺の稲庭うどんを茹で、それを油で揚げ、はちみつ等の蜜類をからめる。蜜を絡める工程で、うどんが粉々になったり、上手くからめなかったりと何度も条件を変えながら、商品化に挑んだと言います。「原料の稲庭うどんは切れ端を使っているの?」とよく聞かれるとの事ですが、麺はすべて同一の太さのものを、納品して頂くそうです。麺の太さが揃っていないと、ゆで具合にばらつきが生じる事、ゆでた後の処理に時間がかかるということを試行錯誤の中で掴んでいきました。平成25年10月から毎日悪戦苦闘してとりくんできた「かりんとう」作りは4カ月の月日を得て、かなえやオリジナルの特産品『稲庭かりんとう』として、平成26年2月にデビューしました。

とことん秋田県産にこだわって

売り行きは上乗でしたが、売り上げはすぐ頭打ちとなり、種類を増やすことに挑戦してゆきます。大潟村産発芽玄米の米粉パスタを揚げたかりんとう。「美人かりん」を商品化。味付けは「青きなこ」「白胡麻」味など5種類に及びます。県外からのお客さまに、秋田ならではのお土産を持ちかえって頂きたいとの一心でとことん秋田産にこだわり続けての商品開発に余念がありません。只今、冬季商戦にむけて新商品開発中とのことです。更に、かなえやさんの商品の特徴は、添加物が少ないという事です。酸化防腐剤を添加して賞味期限を長くすることは可能との事ですが、シンプルな県産のお土産品にこだわりたいとの信念を通したら、「酸化防腐剤No!」という結果がついてきたとの事です。賞味期限50日であるが故、販売先も自分で管理が出来る範中となっているとのことでした。

人間臭い所が共感を呼ぶ

今年の平成27年4月から代表取締役に就任。「父とは、まるっきり真逆の性格。私はどちらかと言うときちっきちと、物事を進めて行くタイプ。専務時代はしょっちゅうぶつかり合っていました。しかし、そのことで腹を割った話もできましたから…」と。「今の自分があるのは、以前の会社で培わせて頂いた社会勉強と、人とのつながりで生かされていることが大きいです。そのことには本当に感謝したいと思っています。自分の言動がそのまま自分に返ってくるのですね。お客様から直接商品の評価を聴けることが何よりの情報収集。自分の作った商品に感謝される喜びは最高です。」と素直に語る米田社長。相手の立場や情を無下にせず、自身の行動を判断する。そこの人間臭い所が、本人がおっしゃるいろんな方たちからの縁で生かされているという事に繋がっているように思えました。5月から一児のパパになられた米田さん。ワークライフバランスをどう保っていくのか、目下の課題でもあるそうです。
取材・文/三浦文枝
秋田県中小企業家同友会 事務局主任
会社概要

有限会社 鼎屋(かなえや)
TEL&FAX 0185-35-3165
男鹿市船越字内子1-231

かなえや菓子工房
秋田市外旭川鳥谷場165
TEL&FAX 018-868-5535

■ホームページ:http://www.kanaeya.co.jp

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