企業探訪

企業探訪 vol.044
有限会社高橋工業(男鹿南秋地区会)
若者はどこに職を求めているのか。地元企業も将来ビジョンを打ち出さねば!
【2018年1月】今月の企業探訪は男鹿南秋地区会です。男鹿市で自動車整備、自動車板金塗装、車販売を生業にしている(有)高橋工業高橋伸司代表取締役を訪ねました。高橋工業は、社長のお父様が創業し、2017年9月で創業51年を迎えます。高橋さんは2012年(平成24年)44歳で二代目代表取締役に就任。現在6年目です。

半世紀も会社を続けていらっしゃったんですね。

会長( 先代社長) は、車が好きということより、機械を扱う事が得意でしたので、溶接や塗装などを手掛けていましたが、これからは自動車の時代だといって自動車整備の方に力をいれていました。しかしあえて社名に『自動車整備』と名付けなかったのは、他の事業も取り入れて会社を経営していかなくては駄目だと考えていたと思います。今でいう多角化経営の可能性もあると考えていたようです。病気で社長職を交代してからは経営からは遠ざかっていますけれど。また、先代はとても手が器用で私から言わせるとなんでもできて、この事務所の社屋も会長が建てたんですよ。

社長が会社に入社した経緯を教えてください

私は、高校の機械科で学んだのち専門学校を経て大手のカーデイーラーに入社し、整備の仕事を覚えました。1社で数十人も採用していた時代でした。速さと、整備の量が求められ、すごくしごかれた記憶があります。スピードに関しては特に厳しかったですね。毎日目標の台数が終わるまで帰れないのです。整備の仕事を覚えはしましたが、入社4年後に退社し、24歳で、後を継ぐものだと何のためらいもなく自社に入りました。今思えば、初めに入社した先で技術検定一級の資格を取れるまで頑張ればよかったと思っています。

会社の様子を教えていただけますか?

 当社は、整備士5名、(そのうち自動車検査員4名、鈑金工員1名)販売営業1名、経理事務2名を含めて合計8名です。自動車整備は「指定工場」に指定されています。年齢層も60代、から20代といまのところはバランスのよい人員配置になっています。更に有り難いことに、うちの社員達は車が好きですので、整備することが大好きです。仕事の覚えが早く、仕事をこなすのも早いですよ。恥ずかしい話、私も『熟練者達( 当時) に負けてはなるものか』と張り合っていた時期もありましたが、結果はかなわなかったです。今では若い社員達からなんでも聴き、知識や能力を貸して貰っています。
 また、先代は技術向上のために、社員にはきちんと教育をしていましたから、技術力は確かです。現在も定期的に法令の講習や技術講習を受けて常に最新の技術を学び合っています。資格取得も計画通りに進めています。贅沢な生活をという事ではないのですが、社員と皆で少しくらいは余裕をもった生活が出来るような会社にしていきたいと思っています。

会社の業績や業界の状況はどうですか?

 業績は厳しいですよ。年間の車検件数も減ってきていますし…。少子高齢化の世相を反映してお客様も減っています。車検もどんどん安い金額の業社へと流れていっています。整備の他に車販売にも力を入れていますが売りっ放しではなく、アフターサービスにも力を入れて新規のお客様への満足度を上げる努力をしている所です。それから人の問題ですね。業界的にどこの整備会社でも整備員が採用できないと困っています。当社は高校生のインターシップを毎年受け入れていますが、受け入れた生徒が必ずしも自動車整備士をめざしているわけでもない
ですしね。この事は我が業界だけでは限らず、新卒採用にはどこも苦労していますね。一体若者達はどういう職種をめざして秋田を離れて働いているものだろうか?我々のこの仕事に対する、想いや情熱、夢などをアピールしていないことも大きな要因なのだと思うけれど・・。本当に人が採れないです。
 ちょっと自慢話ですが、2003年10月、日本で初めての国家一級自動車整備士の試験が行われました。その当時私は二級取得でしたので、是が非でも取得したいと思い努力を重ねました。秋田県の受講生は180名弱。合格者は2名。その一人に私が入りました。難関を克服できた喜びに胸がいっぱいになりました。その強みを生かして、電気系統の故障診断の仕事を任されるようになりました。

将来に向けてどのようにお考えですか?

 技術力向上は確かに大事なことです。その事とプラスして、対『人』だと思います。わが社で60歳定年間近な社員がいますが、彼はお客様からの信頼度が高く、「彼でなくては」とお客様が来社してくれています。先代の時からの社員です。先日感謝の気持ちを伝えましたら喜んでくれました。この先も働いて欲しい旨を伝えた所です。社員一人ひとりの頑張りが口コミで評価されて、少しずつではありますが仕事の受注に結び付いています。社員達は宝です。この先を考えると、よく先代が10年前「ビジョンを持て!」と言っていました。会長の将来を見つめる先見性をいまここにきてまじまじと、考えさせられています。わが社の課題はそこにあるのかもしれないです。社長業の一番はそこにあるのですね
取材・文/男鹿南秋地区会 副地区会長 宮崎 健
㈱アクネス・シモマ 代表取締役
会社概要

㈲高橋工業
〒010-0341 男鹿市船越字前野95-1
TEL:0185-35-3355 FAX:0185-35-3356

  • e.doyu akita
  • 同友会アプリ DOYU NAVI
  • 企業探訪
  • 中小企業家同友会 就職情報サイト Jobway